妊娠9週といえば、正常妊娠が確認できたり、出産予定日が確定して母子手帳をもらいにいく時期ですね。つわりもピークにさしかかりマタニティライフが本格化し始める頃です。
妊娠したことをいろいろな意味で実感する頃ですが、医師から「NT」や「胎児に浮腫が確認できる」というようなことを言われるケースがあります。妊娠9週の胎児の様子や、NT・浮腫について調べてみました。
9週のエコーの見方。何がどんな風に見えるの?
妊娠9週になると、胎児は2頭身になります。エコー検査では、白い丸がふたつひっついているように見えます。ひとつが頭、もうひとつが体ですね。頭の方が丸に近く、胴の方が楕円形です。
まだまだ小さいですが、脳や脊髄などの中枢神経や心臓といった重要な器官が完成し、目や手足もほぼできあがっています。
まだ体が小さいので手足の形は見えませんが、エコー写真の角度がよければ小さな手と足が楕円形の体にチョンチョンと付いているのが見えますよ。
そして胎児のすぐ傍に小さなリングが見えることがあります。これは卵黄嚢という栄養袋です。まだ胎盤がなく、母親から栄養をもらうことができない胎児は卵黄嚢から栄養を吸収しながら成長していきます。
また、妊娠9週は外性器の形が作られ始める時期でもあります。受精卵ができた瞬間に男女が決まっていますが、その特徴が体の表面に現れてくる時期です。
エコー検査で男女を判断するときは写真を見て判断しますが、見えるようになるのはもう少し先です。ママはつわりが一番辛い時期ですが胎児はどんどん人の形になっていっていますよ。
9週のエコーで胎児の大きさはどのくらい?
妊娠9週目の胎児のサイズは、頭の先からお尻までの長さで表します。床に座って頭からお尻までの長さ「頭殿長(いわゆる座高)が25mm前後で、重さは10g前後です。
頭の周りとお腹の周りのサイズがほぼ同じくらい、角度によっては頭の方がやや大きく見えます。エコーでは見えませんが、頭には髪の毛がなくて耳の穴ができています。目鼻口といったパーツもできていて、もうどんな顔か決まっていると思うと不思議ですね。
体には、小さいですが腕も足もついていて指もちゃんとあります。指はカエルの手のように先端が吸盤のように丸くなっていて水かきも残っていますが徐々に消えていきます。
胴体はほとんどが大きな丸いお腹です。お尻のしっぽはなくなっていて、尾てい骨部分が少しツンと尖っているように見える形です。
小さな豆をふたつ並べたくらいのサイズですが、手足を動かし、どんどん成長しています。ママはつわりがピークの時期ですが、赤ちゃんがお腹の中にいる証拠と思えば少しは耐える気力も沸くでしょうか。
つわりは必ず終わりが来ますが、水も飲めないような状態になるとママ自身の体が危険に晒されます。つわりが辛い時は産婦人科に行って治療を受けるといいですよ。
9週のエコーで動かないのは寝てるから?いつから動く赤ちゃんがみられる?
妊娠9週になれば胎児は手足を動かし、体も動かしています。しかしサイズが小さいので動きの幅も小さく、鮮明さに欠けるエコー画像ではなかなか「動いた!」と見て取るのは難しいですね。
胎児の様子をよりよく観察できるよう、医師は何度もエコーの角度を変えるので、胎児が動いている様子をママがモニターで見るのは難しいと思います。
胎児の睡眠サイクルが発達して寝たり起きたりを繰り返すようになるのは、妊娠6か月(20週)くらいからです。妊娠9週くらいでは、まだまだ、寝る・起きる、といったリズムはできていません。
動いているのか、止まっているのか解りにくいのですが、エコー検査で止まったままのように見えていても心配いりません。
胎児のサイズ、前回の健診からどれくらい大きくなったか、心拍、羊水の量など、医師はいろいろな情報をエコーから読み取って胎児の成長度合いを推測しています。
赤ちゃんの動きが目で確認できなくても、ちゃんと成長していて心拍などにも問題なければ大丈夫です。
9週のエコーで胎児の頸部浮腫(NT)かどうか心配に。どう考えればいい?
最近、妊娠9週で「NTを指摘された」「胎児ドッグを勧められた」という経験を持つ方がいるようです。
NTというのは「胎児後頸部透亮像」、つまり「エコーで胎児の首の後ろの部分を見た時、黒く見える部分のこと」です。ここの部分が分厚く見える時に「赤ちゃんの首がむくんでいる」といわれることがあるようです。
むくんでいるように見えたらどうなの? と疑問に思って医師に確認したけれど「NTの数値が普通より厚い」としか応えてもらえない、ということもあるようです。
正確に測定されたNTが3mm以上の場合、胎児の内臓機能などに異常があるケースがあります。心臓、血管、リンパ、脳、筋肉、消化器官などの器官に問題があって、体内の水分量を調節する能力が弱い場合、体の一部に水分などが溜まってしまうことがあります。
内臓に問題があるケース、内臓機能に問題があるケースがだったり、有名な病気では21トリソミー(ダウン症候群)などの可能性がある、と言われています。
ただ、妊娠9週で『胎児のNTが気になる』と言われても過度に心配する必要はありません。そもそも、NTについては次のように言われています。
・NTの測定は妊娠11~14週(胎児の頭臀長が45~84mmになって)から行う
・NTを正確に測定するには10~20分ほどかかる
・NTを正確に測定する技術を有する医師は少ない
NT測定を始めとする初期の胎児検査は、イギリスのFetal Medicine Foundation(FMF)や、アメリカのNuchal Translucency Quality Review (NTQR) の認定資格者により、十分な遺伝カウンセリングとともに行うべきもの
引用元:FMC東京クリニック http://www.fmctokyo.jp/faq.html
妊娠9週では胎児の体内機能は発達途中で、リンパや血管など体内の水分量などを調整する能力が未熟です。このため、体の一部に水分が溜まって膨れているように見えることはあり得ることです。胎児が成長し、臓器などの機能が整ってくれば自然にむくみは解消されます。
また、NTを測定するには細かな決まりがあります。胎児の横顔をエコーで写し、首の角度、鼻の骨が写っているかどうか、羊膜の状態、胎児が動かずに測定できるか。そしてエコーの鮮明さ、コントラスト、白黒の濃淡など微調整をしながら画面に胎児を映し出して測定します。
妊婦健診の時にパッと映し出したエコー画像で「NTが3mmある」と言われても、その測定値の信頼性がどれくらいか、ということが疑問です。
NTが3mm以上あった場合に、胎児に染色体異常が見られる確率は3~4%くらい、と言われています。
ただ、NTが正常値だったからといって染色体異常のない胎児が確実に産まれる訳ではありませんし、例え5mm以上であっても染色体異常のない胎児が生まれています。
また、NTの数値だけで「先天的な病気を持っているかどうか」「どういう病気を持っているのか」ということは判断できません。
例えば、鼻水が出たからといってインフルエンザではありませんよね? 極端ですが、ラーメンを食べただけで鼻水は出ます。
鼻水以外に咳、熱、くしゃみ、体のだるさ、関節痛などの有無を調べ、体内にウイルスがいるかどうか検査して初めてインフルエンザと解ります。
ただ、鼻水が出ていない人よりは、鼻水が出ている人の方がインフルエンザに感染している可能性は高いですよね?
NTについても同じです。NTが3mm以上あるからといって、染色体異常があるわけではありません。エコーの角度などのせいで偶然、そう見えただけ、というケースもあります。
他になにか異常がないか、いわゆる出生前診断と言われる複数の検査をして始めて「染色体異常がある確率がどれくらいか」がわかります。
ただ、NTが正常値である胎児よりは、NTが3mm以上ある胎児の方が、染色体異常を持つ可能性が高いと言われている、ということです。
こうした説明を妊婦健診の短い時間で医師が妊婦にできていない現状があり、また、NT測定技術を持つ医師や、先天性の病気・出生前診断のカウンセリングができる医師が産婦人科にいないケースが多いことが今、産婦人科学会でも問題視されています。
説明が足りなくても問題ですし、産婦人科医不足の中で一人の妊婦に割ける時間が限られてしまう現状も問題です。
さらに、病気は1度の検査や診察でパッと正しい診断が出ることはありません。複数の結果を総合的に判断して結論付けるものです。
胎児についてなにか指摘されるとパパもママも生きた心地がしませんよね。ですが、正しい診断というのは時間が経ってからでなければ出せないケースが数多くあります。辛いですが、赤ちゃんの力を信じて判定を待つようにしましょう。
まとめ
妊娠9週はつわりがピークを迎え、とても辛い時期です。
ですが、既に胎児は人の姿に近づき初めていて、元気に動き回っています。NTという数字が妊婦を困らせるケースが増えているようですが、正しく診断できるまで、できるだけリラックスして過ごすようにしましょう。
そして胎児の診断について詳しい専門家や家族とじゅうぶんに相談しながら検査について考えるようにしましょうね。
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